R2.7.18 K2勉強会 Dr橋爪 根管治療

新型コロナウイルスの影響でいつもの定例会は初のオンラインで行いました。

準備していただいた先生方、ありがとうございます。

 

講師は根の治療専門医の橋爪先生で、細かなところまで丁寧に教えていただきました。

根の治療は歯根の破折があると治せないことが多いです。

破折の原因は歯の残存歯質量によります。治療の際は、隔壁と言って歯の周囲をレジンで覆い補強することで治療期間中の破折を防ぎます。根の治療のアプローチでは歯質の切削量は最小限にすることが大切です。

 

かむ力は臼歯で65Kgくらいあるので破折してしまう事があります。

土台に金属の太い芯棒を入れてしまうとさらに薄い歯根に力がかかり歯根破折を引き起こす可能性が高くなるため、現在では直接歯根に土台となるレジンを流し込んでファイバーポストという歯根にかかる負担を分散できるものを使用する方法が理想的です。

破折の多い歯牙は下の歯の6番目の2本あるうちの前側の根の破折リスクが高いです。

歯質が薄い場合にはマウスピースをしてかむ力を抑制することが治療後に大切となります。

 

根の治療は根管内を無菌状態にすることが目的ですが「0」にすることはできません。

治療回数は1回目に根管内を仕上げ、2回目に根の防腐剤を入れることができれば細菌の繁殖を最小限に抑えることができます。歯質を削りすぎず、早く終わらせることが重要です。

根管内は複雑な形態をしており、100%清掃することはできません。NiTi(ニッケルチタン)ファイルという機械を使用することで根の細部を触ることができるので通常の治療より、効率的に細菌を取り除くことができます。

 

当院ではマイクロスコープ、CT,NiTiファイルがあります。

CT撮影は保険治療で約3500円で撮影することが可能であり、また回数はかかりますが保険治療でも妥協のない治療を提供するようにしています。

自費治療では細菌を速やかに減らすため、治療回数の減少、隔壁の作成、ラバーダムシート使用、マイクロスコープ、NiTiファイル、根管清掃材などすべての効率の良い機器を最大限に使用します。

治りの悪い根には破折の他に、根管内に穴があいて骨が吸収している場合、根の病巣と歯周病の細菌がつながっている場合、歯の響きや違和感が慢性的に起こる場合があります。

治療のケースによっては、MTAセメントといった材料を使用できれば感染部位を閉鎖し治る場合が多くなりました。さらには根尖部を触る外科処置をすることがあります。

できるだけがんばって治療していますが長期(6ヶ月~1年)にわたる場合は紹介させていただいております。保存を試みますが、根の治療では治らず抜歯になってしまうことがあります。特に、歯根の先端まで割れている場合はほぼ抜歯となります。

 

根の治療は治療中に腫れる、痛むなど急性症状を引き起こしてしまう事があります。根の内部の細菌が毒素を出して根尖部を刺激し、内部のガスがたまり、症状を起こすことがありますが、すぐに対応させていただいております。心配をおかけしてしまう事もありますが、急性症状が起きた場合にはすぐにご連絡ください。

 

根の治療は長引くことがございますが、放置してしまうと抜歯になってしまう可能性が高くなってしまいますので最後まで通っていただくようお願いいたします。