ジルコニアのメリット・デメリット

前回はジルコニアの歴史についてお話しさせていただきましたが
第3回目の今回はジルコニアのメリット・デメリットをご紹介いたします。

ジルコニアのメリット・デメリット

メリット

・強度
ジルコニアは以前もお話しいたしましたが、人工ダイヤモンドと呼ばれる程、強度にとても優れています。
ジルコニアの硬さは約1300Mpaで歯の硬さ(400Mpa)の3倍以上といわれていて、
像に踏まれても割れないくらいの硬さの為、寿命が長いです。
またよく耳にするセラミックの硬さは歯の硬さ(400Mpa)とほぼ同等といわれています。

・虫歯の再発防止
詰め物、被せ物の治療で注意したいのが虫歯の再発です。主な原因は詰め物、被せ物の不適合です。
ジルコニアの作製は光学印象とその他機械を導入し、高精密・高精度に作製しているため、適合性に優
れていますので、虫歯の再発を抑制することが可能です。

・安心の素材
金属を含む被せ物は劣化による金属アレルギーを引き起こす要因になることがあります。
ですがジルコニアは金属が使用されていないため、金属アレルギーの方でも安心してお使いいただけ
る、生体親和性の高い素材です。

・審美性
ジルコニアは金属のように歯茎の変色を引き起こすことがありません。
また、レジンを含んでいないため、被せ物自体の変色もなく、見た目も自然で汚れがつきにくく、衛生
面でも安心して利用できる素材です。

・幅広い治療に使用可能
強度と審美性を兼ね揃えているため、虫歯治療の詰め物や被せ物、入れ歯やブリッジ、インプラントの
人工歯部分として幅広く使用できます。

デメリット

・自費診療のため、費用が高額
ジルコニアは保険適用外ですので。保険適用の素材に比べて治療費が高額になります。

・噛み合う歯を傷つけることがある
ジルコニアのメリットでもある「強度の高さ」は、場合によってデメリットにもなり得ます。
噛み合わせの状態をきちんと調整しないと、天然の歯を傷つけてしまうおそれがあるからです。
この点は咬合調整をきちんと行うことで解消することができます。

・セラミックに比べ透明度や再現性が劣る
ジルコニアは近年ステイニングといわれる色を上に塗っていく技術が発展したため、昔のものに比
べるとかなり綺麗になってきていますが、ブロックを削りだして作られている為、天然歯の透明度を再
現するのが難しく、多少の光沢感があります。
ですが強度や審美性を総合的にみて、その他の被せ物よりもはるかに優れているといえるでしょう。

・研磨と調整が難しい
被せ物を被せる時は、嚙み合わせ等を調整し被せていきます。
その際にジルコニアはとても硬い為、研磨や調整が難しいです。
また、硬いがゆえに、嚙み合わせの歯がすり減る場合がありますがマウスピース(ナイトガード)によっ
て歯への負担を軽減することが可能です。

・歯を削る料が多少多くなってしまう
ジルコニアやセラミックは金属に比べ多少多くなってしまうといわれていますが、歯を削る量は
歯の状態、虫歯の大きさ、神経の有無などによって異なりますので一概には言えません。

被せた後の注意点

ジルコニアはレジン(プラスチック)が含まれていない為、経年劣化がしにくいものではありますが、永久に使えるわけではありません。
検診等で定期的に確認させていただきたいと思っております。

また、強度に優れてはおりますが、強い歯ぎしりや食いしばりが継続されることによって破損する
可能性はあります。そういった方には上記でもお話ししましたがマウスピース(ナイトガード)などの対応もございますので、ご相談ください。

そして何より、良い治療を受けてもその後のケアが疎かになると予後が良くありません。
ケアを怠り、プラークや汚れが蓄積したことにより歯周病となった場合、土台となるご自身の歯がグラグラしてしまうと被せ物を被せた歯自体を失う場合もあります。少しでも長く使えるように毎日のケアをしっかりと行っていただきたいと思います。

記事の著者:院長 北原 充志

院長 北原充志

私が歯科医師になろうと思ったきっかけは、両親がともに歯が悪く、苦労していたことでした。「自分が治療しておいしく食事ができるようにしよう」と考え、今ではその夢を叶えることができました。

お口は食べるだけでなく、健康にも重要な役割を担う場所。美しい歯と健康なお口でいるお手伝いをするため、研さんに励んでいます。私達にとって、家族同然の存在でもある患者さまたちの歯を長く残すため、お気軽に検診にご来院いただければ嬉しいです。

 
また当院のジルコニアの症例もご覧ください
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