知って安心!インプラント治療の歴史を徹底紹介

こんにちは、きたはら駒込歯科です。
インプラントと聞くと、新しい治療法というイメージをお持ちの方も多くいらっしゃると思いますが、どのような歴史をもった治療方法なのでしょうか。
今回は、インプラントの歴史についてご紹介します。

インプラントの起源

新しい治療法のイメージがあるインプラントですが、その起源は意外にも古く、紀元前にまで遡るといわれています。その根拠として、インカ文明においてミイラからサファイアでできた歯根が発見されたことや、エジプト文明で歯を失った場所に宝石などを埋める試みがあったことが報告されています。さらに、西暦700年代の女性の下顎の骨に歯根と一体化した貝殻が埋め込まれていたという報告もあり、これらもインプラント治療の一環ではないかと考えられています。このように、インプラントは歯を失ったあとの治療法として、私たちが思っているよりもずっと昔から行われてきた治療であることがわかります。

先人たちにより試行錯誤されてきたインプラントの素材

インプラントの素材は長い期間をかけて試行錯誤が繰り返され、現在に至っているようです。エメラルド、サファイアなどの宝石から、人間の歯や象牙、動物の骨など、様々なものが試されてきました。紀元2~3世紀に入ったころ、鉄を素材としたインプラントが使われるようになったようで、古代ローマ時代には鉄製のインプラントが普及していたという報告もあります。時は経ち20世紀以降、コバルト、クロム合金、金、プラチナといった金属や宝石がインプラント治療に用いられてきましたが、どれも良し悪しがあり素材として確立されることはなかったようです。

現代に繋がるインプラント治療の誕生

1885年に、アメリカのヤンガー氏が人工歯を歯槽骨に移植する手術を行いました。このときの手術で、インプラントという名称が初めて使用されたといわれています。そして、1952年、スウェーデンのブローネマルク氏が骨とチタンが結合するということを偶然発見したころが、現代のインプラント治療に繋がる大きな一歩となりました。

ブローネマルク氏がこのことを発見するまでは、インプラントとして使用されていた素材が身体となじまない、骨と結合しないなどの様々な問題を抱えていました。ブローネマルク氏の画期的な発見により、インプラント治療は飛躍的な発展を遂げることとなります。

当時、骨が治癒する過程での骨髄の働きについて研究していたブローネマルク氏ですが、うさぎの骨にチタン製の器具を埋め込んだところ骨とチタンが結合して器具が取り外せない、ということが生じました。この事象をきっかけに様々な実験が行われ、チタンが生体親和性が高く、骨としっかり結合できる素材であるということがはっきり示されたのです。

その後、ブローネマルク氏はインプラントの素材や形、生体親和性に関する研究を重ねました。そして1965年、ついにチタン製インプラントが歯科の臨床で使用されたのです。

日本におけるインプラントの歴史

日本におけるインプラント治療の歴史は、ブローネマルク氏の初めての臨床応用から13年後となる1978年から始まります。大阪歯科大学の河原氏らが、人工サファイア製のインプラント手術を行ったことをきっかけに、治療が行われるようになりました。チタン製のインプラントが使用されるようになったのは1983年頃で、それ以降様々な課題を乗り越えながら、現在のような形にまで発展してきたといわれています。

今回は、インプラント治療の概要についてご紹介しました。
このように、インプラントは世界で60年近い歴史のある治療であり、日本においても97%以上の成功率を誇る信頼性・安全性の高い治療であることがお分かりいただけたかと思います。

次回以降も、入れ歯・ブリッジとの違い、さらにはメリットやデメリットなど、様々な視点からインプラントを徹底解説していきます!

記事の著者:院長 北原 充志

院長 北原充志

私が歯科医師になろうと思ったきっかけは、両親がともに歯が悪く、苦労していたことでした。「自分が治療しておいしく食事ができるようにしよう」と考え、今ではその夢を叶えることができました。

お口は食べるだけでなく、健康にも重要な役割を担う場所。美しい歯と健康なお口でいるお手伝いをするため、研さんに励んでいます。私達にとって、家族同然の存在でもある患者さまたちの歯を長く残すため、お気軽に検診にご来院いただければ嬉しいです。